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少しだけ修正しました。
Eno.1501 綾織空木さんをお借りいたしました。
快諾していただき本当にありがとうございました。
しかしデートなんですかねこれ…。
今のところ、そういう関係ではありませんが。
先日見つけた、とあるお知らせ。
【蛍火の宙】
―蛍。
久しぶりに聞く名前。
「…久しぶりに見たね、その名前」
『そうですね、そろそろあちらでもその時期でしょうけれど…』
「まさかこちらでも見れるとは。出店が出るようですし…」
この島なら、蛍も見れてもおかしくないだろう。
何があってもおかしくなく、何がなくてもおかしくない島。
「お祭り?」
『そのようですね』
「こっちでもあるんだな、そういうの。」
『結構盛んですよ。夏祭りもありましたし。これとはまた違う感じで」
「へー…。優歌行くのかな?」
『行くんでしょうね。でもなんであんなに悩んでるんでしょう』
「………さぁ?」
ひとしきり悩んだあと、連絡を取った。
―綾織空木さんに。
とあるきっかけで知り合い
それからずっと、連絡を取り合っている方。
そして…。
+++++++++++++++++++++++++++
―当日
浴衣は、黒に月と金魚の柄。
髪も後ろでまとめてアップにして、髪留めをつけて。
何度もおかしいところはないか、確認して。
屋台の傍で、待ち合わせ。
待ち合わせ場所に指定していた出店の始まり付近には、たくさんの人が集まってきていた。
やはりこういうお祭りごとは、好きな人が多いのだろう。
キョロキョロしていると、前から、彼が現れた。
「優歌さん、お誘い頂いてありがとうございます」
「い、いえこちらこそ…!」
「優歌さんは浴衣着てこられたんですね…。夏っぽくていいですね!
よくお似合いです。髪型もいつもと違われるし…。びっくりしました。」
「…え、あ、ありがとう、ございます」
相変わらず、なんというか、こう、照れてしまう。
と、照れている場合ではなくて…!
私は、浴衣のセットを入れてある紙袋を差し出した。
「その、せっかくなので着ませんか」
「え、いいんですか?」
「はい。」
「じゃあ、せっかくですしお借りしますね。」
着替えに行った空木さんを見送って、夜店の中にヒカルさんにご挨拶しに行く。
お忙しそうだったので、ご挨拶だけで。
お店を見て回るのは、空木さんが戻ってきてからにしよう。
少したって、空木さんが戻ってきた。
空木さんにお渡ししたのは、黒と紺の縦じまの浴衣。
「おまたせしました。」
「いえいえ、とんでもないです!よかった、サイズもぴったりだったみたいで」
「ありがとうございます。」
空木さんの学生服以外の姿は、すごく新鮮で。
いつも以上に挙動不審になってしまいそうなのを、ごまかしつつ。
「じゃあ、参りましょう。ちょうど出店の向こう側が蛍がよくいる場所らしいので、出店を見ながら…」
「そうですね、いろいろあるみたいですし。」
見た限り、綿飴、カキ氷とか。
食べ物がほとんどだけど、金魚すくいも、お面屋さんもあるみたいで。
しかしほんとに、すごい人の数。
「人、多いですね…」
「そうですね。はぐれちゃうと大変ですし、はい。」
差し出された、手。
…少し悩んで、手を乗せ、つなぐ。
つい、一歩遅れになってしまう。きっと、今、顔は真っ赤だ。
一通りの屋台を見ながら歩いていると、人がまばらになってきた。
暗くて、緑の多い道はとても静かで、すでに数匹の蛍が舞っている。
「このあたり、ですね。きれいだ」
「静かで落ち着いててあちらとは別世界ですね。とてもきれいです」
そっと蛍に手を出して、触れてみる。
命の輝き、舞っている蛍たち。
「…一緒に見られて、良かったです。こんな機会、めったにないですから」
「そうですね。ありがとうございました」
小さな岩に、並んで腰掛けて。
ふわふわまう、蛍を眺めて。
時間が過ぎるまで、いろんな話をして。