29日目

サモン　ヅラ投擲機

【ポー】
なにやら思い悩んでいることが増えているように見受けられていたが
先日の少女との会話でそれがやっと理解できた。

良い傾向、だ。

彼女…―優歌と初めて出会ったとき、心底驚いたのだ。
空野から告げられていた通り過ぎて。

―儚くて、気づいたら居なくなってしまいそうで。
人形のようなガラス玉に似た、茶と金色の瞳をした彼女。

『空野のお友達、なのですね。優歌といいます。どうぞよろしく。』

いったい彼女はどんな人生を歩んでいたのだろうと、心底思ったほどだった。


彼女がどう変わっていくのか興味があったという部分は、あるが。
空野とではなく、優歌とともに居ることが増えてきて、数度、旅をともにした。

いろいろな出会いがあって。
痛みや苦しみもあって。
喜びや悲しみもあって。

少しずつ感情の欠片を取り戻していって。
その中で、今傍にいる彼―空翔殿―足りなかった最大のピースをも、取り戻して。

今、もう一度、歩んでいるのだ。


わけも分からず、何かをもとめていた優歌。
心と体を離してまで求め、焦がれていた空翔。

離れてしまった原因は、泰遠様から伺った。
優歌は覚えていないことである。空翔殿はどうやら覚えておられるようだが。
…私の口から告げることではない。

空翔殿はそれを望んでおられないし、何より思い出してほしくはないようだ。



さて。
今回の旅を熱望したのは他でもない優歌であった。

最大の理由である方々には、すでに再会できている。
―数人はもう一度この島に降り立ってはおられないが。そういうこともあろう。

空翔はおいていきますと言い切った理由も確信していた。

この島は　危険だからだろう。

私は正直、離れることには反対ではあったが
“マナ”、“エキュオス”と呼ばれる、この島に蔓延する力の欠片のこともある。

優歌は、漠然と前回の探索で悪影響を感じ取っていたのだろう。
だからこそ一人で、着たがったのだ。
危険は承知のうえで。

目的と危険がつりあっていない気もしていたが


また一つ、大切な“心”を取り戻したのだ


今のところは、良かったことにしておこう。


もちろん、うまくいくかは、本人たち同士の問題なのだから。
私は、ただ見守るだけだ。彼女らの行く末を。

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泰遠お兄様、崇徳お兄様、空野へ。

なかなか手紙が書けなくてごめんなさい。
今回は落ち着いた探索ではあるのですが、筆をとる時間をとれずにいました。
荷物に関しては、次に遺跡の外に出たときに、確認しますね。

それから…。
式服。ありがとう。
おそらく、そろそろ着ることになるのだと思います。
こちらでも同じ“名”をつけた衣装を作っていただいたところだったんです。
…縁、というか。なんというか。

空翔も少しずつこちらに慣れてきたようです。

探索については、いろいろと情報が入ってきています。
うわさされている日数で、帰れるかどうかは分かりませんが。


では、また。

優歌

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先日の闘技大会で、とあるチームと戦った後から
ハルカさんとクロエさんと私でたくらんでいたことがある。

なんだか気に入っていたらしい、ので。

いずれ暗刻さんがつけるであろう装備を、ことごとく…。


“アレ”関係にしてしまう、というたくらみ。



今回の練習試合で、強制お披露目、ということに、なった。


…でも、どうやって紹介したらいい、のかな。


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ネタ満載になっているであろう練習試合をお楽しみください。